- PCでカーナビを〜 -
Last Update 2004/07/07

(2004/03/10) X-8.Nylink0.82の入手についてを追加
(2003/05/09) 海外での利用についてX-7.に追加
(2003/05/02) X-6.を追加
(2003/05/01) 反射波の影響で豪快に10mほどずれたことがあったので、弱点に追加
(2003/04/09) 費用の詳細を追加
その他、細かな変更は随時

 このページではノートPC(VAIO UことPCG-U1)とGPS受信機(CFGPS2)を車載し、PCカーナビを実現するまでのことを、まとめてあります。

1.はじめに ・・・動機など
2.使用機器、ソフトウェア ・・・いるもの、やること
3.PC側の設定 ・・・簡単ですけど一部面倒?
4.自動車への車載 ・・・独創性の発揮しどころ!
5.実用に耐える性能  ・・・走行してみて、その1
6.弱点もあります ・・・走行してみて、その2
7.やってみた結論 ・・・それで結局どうなのか
X.おまけ情報


1.はじめに
 たまに自動車で遠出するとき、知らない土地で待ち合わせするとき、なれない地方でガソリンスタンドやファミレスやP(駐車場)なんかを探すとき、こう思うことがあります。
「カーナビがほしい」
そう、そのときは確かにそう思うのです。しかし、状況が過ぎ去って冷静に購入の検討などしてみると、道路標識や交通情報サービスの充実している日本では、
「本当に必要な状況ってそう多くはないのでは?」
ということにも気がついてしまうのです。

 気づいてしまうと、安くなってきたとはいえ諸費用込みで10数万円は当たり前のカーナビ専用機を、ポンっと導入ということはなかなか出来ません。しかし、そう多くないとはいえ、カーナビが欲しいと感じる状況が、自分にとって存在するというのもまた事実なのです。

 そんなときでした、ふと手元で使っているVAIO U(PCG-U1)の画面を眺めていると、「デジタルマップナビゲーター Navin'you」なるものが目に留まりました。
「そういえばこれってカーナビみたいな地図閲覧ソフトだったよな。ノートPCを車載してPCカーナビに出来ないかな?
カーナビが欲しいような気がするけど、専用機買うほどではないなぁ。と考えていた私にとって、このように考えるのはとても自然なことでした。

 そんな訳で、このページではVAIO Uを使ってのPCカーナビについて、その準備と実装、そしてその実用性について掲載しています。

▼次項

2.使用機器とソフトウェア
 PCカーナビをやるにあたって私は、まず最低限守るべき方針を決めました。それは次の3つです。
運転のさまたげにならないこと (事故るとシャレになりませんので)
車内やVAIO Uにキズをつけないこと (普通は誰でも思いますよね)
車内が見苦しくならないこと (家族共有の車を利用するので同意を得るためにも(^^;)
これらを踏まえて、手持ちの自動車、ノートPC、地図閲覧ソフト、地図データ、GPS受信機、実際の設置について考えた結果、以下のようになりました。
#各イメージはクリックすることで拡大します。

A. 自動車
 自宅にある車を使用します。PCカーナビを構築しても、車がないと多分楽しく無いと思いますので、やはり必須です

B. ノートPC
 SONY VAIO U(PCG-U1)を利用。一番の理由は手持ちのノートPCで一番手ごろなサイズと重量だったからです。PCG-U1はサイズが184.5×30.6×139[mm](=W×H×D)で重量はバッテリー込みで820g。また液晶は6.4型なので、車載時にちょうど大型液晶を使ったカーナビ専用機っぽいバランスになるのも都合が良かったです(^^
 なお、OSはWindows XP pro.に換装し、メモリも386MByteに増設してあります。IoPageLockLimitなどもいじってあるので、標準より多少速くなっています。
PCG-U1製品情報

C. 地図閲覧ソフト
 SONY デジタルマップナビゲータ Navin'you5.5(VAIO U付属) を利用。
 そのほかにも、各社から出ている地図閲覧ソフトでもGPS対応であれば一応のナビは可能です。しかし、交通法規に則った(例えば一方通行も考慮するなどですね)全国的なルート検索や、音声ガイドなどといった条件で考えると、現状コレが一番かなと思えました。
Navin'you 5.5製品情報

D. 地図データ
 ゼンリン Navin'you専用マップ3 日本詳細版DVDを利用。
 Cで述べた条件や、GPSの情報と地図の位置あわせを行う「マップマッチ」や、進行方向を常に画面上方にする「ヘッディングアップ」、俯瞰視点で表示できる「3D視点(バードビュー)」などの機能への対応を考慮し、これにしました。
 ちなみに専用マップシリーズには、日本全域版と、全国を6つに別けて小売する地方詳細版もあります。前者は地図や周辺施設の情報が大幅に減っていてN.G。後者については、地図の手動切替が必要という終わってる仕様、全国詳細版DVDとの価格差が些少なことを考慮しパスしました。
Navin'you 専用マップ3製品情報

E. GPS受信機
 GPS受信機は、I・Oデータ機器の CFGPS2を利用。
 CFGPS2はCFタイプのGPS受信機ですが、PCカードアダプタを使用することでPCで利用可能です。OSからはCOMポートとして認識され、吐き出されてくるデータも一般的なNMEA-0183なので、さまざまなGPS対応ソフトウェアで利用可能という汎用性の高い製品です。
 ただNavin'youは基本的にSONY製のGPS受信機のみ対応なので、ひろくん氏作のNYLINKというDLLが別途必要です。同DLLを入手しWindows2000対応パッチをあてて利用します。
CFGPS2製品情報 NYLINK v0.82

F. CFGPS2用外部アンテナ
 CFGPS2はメーカーいわく従来のものと比較し非常に高感度になっているそうです。確かに一度さえ測位すれば、車内で空があまり見通せないような設置方法でも途切れながらもそこそこ測位し続けるなど、従来のものよりは優秀なようです。しかしやはり限界がありましたので、外部アンテナである GPS-ANT/CF2 をルーフ(屋根)に出して利用することにしました。
GPS-ANT/CF2製品情報

F. 車内電源
 以前購入した 12Vのソケットからとるタイプで、200WまでO.Kのものがあったのでそれを流用。あまり小さい容量のものではノートPCを使用中に突然ヒューズが飛んだりするのでご注意を。100W以上対応のものであれば、特に心配は無いと思いますが、できれば「ノートPCに対応」とか明記されている製品のほうが気分的に安心ですね。
#ウチのは明記されていませんが...

G. PC設置用マウンタ
 PCの車載については、カーオーディオのインパネ付近にPC設置用マウンタを自作して設置することにしました。助手席に置いたりすると視線の移動が大きくなりますし、ダッシュボード上ではフロントガラスへの写りこみがあり不満でした。何より運転時に視界を妨げないことや操作性を優先した結果、自作することになりました。
 部材はカー用品店で売っていた金具とネジセット、オーディオ用のクッション材を使用しました(後述)。


※準備が完了したら次は実際の設定です
▼次項


3.PC側の設定
 まず製品マニュアルを参照しCFGPS2と、Navin'you専用マップ3全国詳細版DVDを導入します。このあたりは製品マニュアルどおりやれば確実に出来ます。ちなみにCFGPS2はWindows XPの標準COMポートドライバで動作するので、ほぼ「ただ挿すだけ」です。また、専用マップ3は別PCの共有ドライブからでも取込めます。Navin'you 本体についてはVAIO Uであれば普通はプリインストールされているので、そのまま利用して問題ありません。パッケージ版Navin'youを購入した方はそれをインストールします。私はWindows XP Pro.をクリーンセットアップしていたので、リカバリCDからNavin'youをインストールしました。
#PCG-U101以後のUシリーズには、Navin'youはプリインストールされていません。

 CFGPS2の導入後、デバイスマネージャから、CFGPS2がCOMポートの何番に設定されたかを確認しておきます。下図の場合、CFGPS2は COM2 に割り当てられていることになります。


fig.3-1. デバイスマネージャでCOMポートの割り当てを確認する

 割り当てられたCOMポートのプロパティを開き、タブ[ポート設定]の[ビット/秒]の項目を、下図のように 4800 に設定します。この設定は、このあとインストールするNYLINKが 4800bps で動作するため、それに合わせるために行っています。


fig.3-2. ビット/秒 の項目を、4800に設定

 続いてNavin'youでCFGPS2を使用する為に、2-E.で紹介したNYLINKを導入します。NYLINK v0.82パソコンカーナビの部屋)で公開されている情報に従い、バイナリエディタでパッチをあてます。
#このページでパッチあて済みの NYLINK.DLL を配布したいところなのですが、付属ドキュメントに「転載 不可」「(パッチについては)この情報だけで自己責任において実施できる人」と明記してあるため、このページでは配布致しませんm(_ _)m

 パッチあて済みのNYLINK.DLLをNavin'youのSYSTEM\GPSフォルダにコピーすればNYLINKのインストールは完了です。例えばNavin'youのインストール先が、標準のc:\Program Files\Sony\Navin' Youである場合、コピー先は
c:\Program Files\Sony\Navin' You\System\GPS
になります。

 Navin'youを再起動し、[GPS] - [GPS/ルートガイド機能設定] から、[GPSレシーバーの種類]を確認し、NMEA-0183($GPRMC only)を選択します。COMポートについては先ほど確認したポート番号を選択します。例えばfig.3-1.と同様だった場合にはCOM2を選択する訳です。また、このとき[自動設定する]のチェックをはずしておきます。この3つで設定は完了です。


fig.3-3. 赤枠内の3箇所を設定・確認

 あとは、Navin'youの画面左下にある[GPS]という緑のボタンをクリックすれば、衛星を使っての測位が開始されます。交差点や公園、庭などといった空が多方向に広く見渡せるところでGPSの受信テストをしてみると良いですね。初めて自分が立っている場所が表示されたときには、多分ちょっと感動しますよ^^

※「感動した!(←古い)」という方は次へ。いよいよ自動車への車載です
▼次項

4.自動車への車載
※車載の詳細については、車種や装備によって大きく変化すると思われます。ここではあくまで筆者の車の場合ということで記述しています。
 車載に関して、とにかく気にしたのがやはり冒頭で決めた「運転時の妨げにならない」、「車内やVAIO Uにキズをつけない」、「車内が見苦しくならない」の3点でした。簡単に言えば、運転時の視界を遮らないとか、PC操作時に無理な体勢にならないとか、穴を開けたりガムテープや両面テープで無理に固定しないとかいうことなのですが、これが結構難題でした。

 GPSの外付けアンテナ(GPS-ANT/CF2)に関しては、アンテナ下面が強力な磁石になっており、防水も施されていることから、簡単にルーフに固定できます。ケーブルに関しても、窓枠のゴムの部分を這わして引き入れれば問題ありませんでした。しかし、VAIO Uに関しては、もともと車載など想定されていませんから、どうにも旨い設置場所がありません。

 いろいろ考えましたが、カーオーディオとエアコン噴出し口のあたりにある、1ミリ程度の隙間に自作したマウンタを差し込むことにしました。ここならば、視界の妨げにもなりませんし目線の移動も最小限に抑えられます。また、もともとオーディオ機器があるところなので、手も十分届きます。マウンタの作成を工夫すれば、車にもPCにも穴を開けずにすみそうですし、マウンタ自身が簡単なダンパーとしても機能してくれそうです。
#このときちょっと思いましたが、1DIN BOXが開いている方は、
#そこに万力のようなものでマウンタを固定するのも良さそうですね。

 早速、固定用の細長い穴あき金具と、オーディオ用のボトルセットとクッションテープを購入し、VAIO Uの寸法を測りながら(というか手アテに近い感じで(^^; )マウンタの作成を行いました。VAIO Uを装着して試験したところ、クッション材が接する面積が大きいため安定性に問題は無く、かつ装着した状態で全ての操作が可能でした。また、PCカードスロットやメモリースティック、USBやヘッドフォン端子等のコネクタも利用可能です。適当に作ったにしては、なかなか具合が良さそうです。

fig.4-1. マウンタと一体化したVAIO U。接する部分全てにクッション材を使用

購入した各部材の詳細は以下のとおりです。何かエーモン工業の回し者のようになっていますが、当方この会社との利害関係は全くありません(^^;

・金具:
 エーモン工業株式会社 S742 (30×15×0.8[mm]) 280円 , 3本
・クッションテープ:
 エーモン工業株式会社 N864 オーディオ用クッションテープ (15×1×5[mm])1[m] 300円 , 1巻
・ボトルセット:
 エーモン工業株式会社
 S923 オーディオ用ボトルセット(長さ8[mm],ピッチ0.8[mm],Φ5[mm]) 10set入り 340円 , 1パッケージ

 部材の購入は最初ホームセンターへ行ったのですが、この類のものは意外にもカー用品店のほうが、より安価で(10円、20円の差ですが)判り易く販売されていました。何かを車載するときにこういった部材を使う人、意外に多いのかもしれませんね。

 自動車への車載時は、下図のような外観になりました。電源ケーブルが多少見苦しいですが、何とか目的は達成できたようです。元がノートPCなので当然ですが、各種インタフェースが利用可能です。そのため、カーナビ以外にもメールチェックやデジカメの画像参照、音楽再生なども可能です。

fig.4-2. GPSアンテナ及び VAIO U 車載の様子


※次はいよいよ実際に走行です
▼次項

5.実用に耐える性能
※お・や・く・そ・く。停車時以外のPC操作は大変な危険を伴いますので止めるべきです。せっかくのPCカーナビも、その為に事故っては台無しです。くれぐれもご注意を(←結構マジメに)。
 ここまででやっとPCカーナビが実装できましたので、いよいよ実際に走行してみました。実のところはじめ、私はそれほど大きな期待はしていませんでした。というのも、昨今のカーナビ専用機では、加速度計や速度計からの情報も利用しており、GPSは最初の位置決めと定期的なベリファイに多少使われている程度という話を聞いたことがあったからです。また、近年GPSの精度が劇的に向上しているとはいっても、これまでの経験からそういった情報がそのまま実際使用する場合にあてはまるとは限らないとも思っていました。そんな訳で、
「まあ、大まかにいまどの辺を走っているか判れば御の字」
とか
「概ね自位置を中心に画面が動くハズだから、地図をめくる手間が省ける」
といった程度の期待度だったわけです。

 しかし実際に使用してみての感想は、
「おや?これは想像以上に実用的だ」
といった大変前向きな、嬉しいほうへ予想外なものでした。CFGPS2の売りである高速な測位性能や、GPSアンテナをルーフに付けていのるが幸いしてか、一般にPCカーナビについて言われてきたような測位の遅さは通常まず感じません。ビルの谷間など、GPSの受信状態が悪いと発生しがちだという、ドリフト(停車したにも関わらず地図上ではズルズル進んでしまう)も皆無です。
#CFGPS2内蔵アンテナだけの場合はよくドリフトしてました。車内で実用
#的な測位性能を求めるなら、やはり外付けアンテナは必須です。

fig.5-1. 走行ログの一例(埼玉県さいたま市 大宮駅周辺)

 具体的に言うと、3D測位までの時間は、コールドスタートからでも1〜2分程度、それ以外の「サービスエリアでご飯&給油してまた出発」といったような、全く車を動かないでエンジンをかけ直すケースでは数秒です。また、CFGPS2用のユーティリティで調べたところ、SNR値も概ね40以上となっています。これならGPSのみを利用していた、第一世代のカーナビと比較してなんら遜色ないという印象です。それに現在は民生品へのSA(選択利用性:要するに用途によってはGPSの精度を制限するということです)も緩和されていることもあり誤差は10m以下、CFGPS2 のカタログスペックでは 2DRMS 10m となっています。精度の面のみで言えば昔より格段に向上しています。

fig.5-2. ユーティリティでの衛星測位状況例

 PCの起動や停止にかかる時間についても、Windows XPの休止状態(ハイバネーション)を使うことで気にならないレベルに短縮できました。私の環境では15〜18秒程度、エンジンをかけてオイルやATFが回る間にPCの起動が終わるといった感じです。また、短時間だけ車を離れるのであれば、車のバッテリーを使用してスタンバイしてしまえば数秒で復帰します。CFGPS2自体は休止状態やスタンバイに対応していないことになっていますが、受信を停止した状態であれば問題ないようで(追記:実は受信停止しなくても大丈夫なようです。最近はNavin Youで受信しっぱなしのままエンジンOFFしています(^^; )、差したまま休止状態等にしても、復帰後の動作は極めて安定しています。挿しなおす必要もありません。Windows XPの電源管理はPCカードスロットへの給電も管理しているので、故障するような事態はまずないでしょう。
#とはいうものの、一応メーカーでは認めていない使い方なのであくまでも
#自己責任で。また車のバッテリーを使って スタンバイする場合には、
#バッテリ切れにくれぐれもご注意ください

 また、使ってみると Navin'you 5.5 がこれまたなかなかよく出来ているソフトだということに気づかされます。ルート設定してからのナビゲーションは「交差点拡大」「ジャンクション拡大」「車線案内」「音声案内」「到着予定案内」「現在地の周辺住所案内」「自動リルート」「逆順(帰り道)ルート検索」と、専用カーナビ顔負けです。特に音声案内はポイント間際になるとしつこいくらい頻繁に実施してくれます。

 [しつこいくらい頻繁な音声案内の例] ・・・ 300[m]手前から40[km/h]で走行。
  (Windows Media 9 format. 18[sec.] 76.5[kbyte])

fig.5-3. Navi'you 5.5 でのルートガイドの例

 ルート設定しなくても使える「周辺検索」についても、現在地から1[km]単位で範囲指定して、駐車場やファミレス、コンビニなどの指定した種類の施設を検索して地図に反映できるので、大変重宝しています。ためしに自宅周辺3[km]などと指定してみたところ、思いがけないところに病院や飲食店があるなど、地元のくせに新鮮な発見もありました。

fig.5-4.「周辺検索」の例。周辺1[km]以内にある駐車場を表示

 なお、遅いと言われている VAIO U も一応いっぱしのノートPCですので、ルート探索などの処理速度の面ではカーナビ専用機より多少有利な様です。例えば、車で行ける最北端の北海道室谷岬から、連続して自走可能な最南端、九州の佐多岬までのルート検索は9秒でした、これは悪くないタイムだと思います。

 音声案内の交差点名などの合成音声が少々聞きづらいことや、デフォルト設定ではルート検索で有料道路の利用を推奨する傾向があるなど(検索条件の設定で回避可能)、細かいことを言えば文句のつけどころもありますが、そんなことは些細なことだと思わせる、良質なソフトでした。
#それだけに新バージョンの開発中止は実に残念(T_T


※「おやおや、そんなに良い事だらけですか?」とか思った方は次項へ
▼次項

6.弱点もあります  とまあこれまでのところかなり褒めちぎっていますが、所詮GPSのみにた頼ったシステムですので、やはり弱点もあります。主だったものを挙げますと、まずGPSの受信できない状況には当たり前ですが弱いです。具体的にはトンネルの中や鉄橋の真下に停車するといった、空の殆ど全てが覆われてしまう状態では測位不可能です。なお、首都高速などの高架下を走行する場合は、浅い角度にある衛星や反射波を拾えるためか意外にもふつうにナビゲーションしつづけてくれました。

 次の問題として、反射波などにより向きを誤認することがあげられます。先ぼど掲載したfig.5-1でも、自位置の向きを示す矢印が2つほどあらぬ方向を向いています。また、測位が厳しい状況にこの問題が重なると、現在地自体がズレることもあります。Navin'you でマップマッチを使用している限り、殆どの場合現在地がズレるほどの影響はでませんが、あとでログを見ると「おや?」となるかもしれません。

 最後に、地図上でとなりの道を走行してしまうという問題があります。これはGPSの受信状態が割と良い場合でも発生しうる問題です。GPSの精度がいくら良くなっているとは言っても、民間用のものはせいぜい5-10m程度ですので、入り組んだ路地や、なだらかにY字型に別れていく道を走行する場合、一時的に隣の道をはしっているように表示されることがあります。こういった状況ではGPS以外の測位手段が欲しくなります。

 また、これはGPSの問題ということでは無いのですが、PCカーナビだからこそといえる問題に「PCだから」ということがあります。これはどういうことかと言うと、PCの操作に慣れていないと、カーナビの操作自体が困難だということです。今回利用した Navin'you 5.5 については各種ショートカットキーやジョグダイヤル操作でかなり緩和されており、日常的にPCを使っている程度のスキルがあれば十分実用範囲内と言えると思います。しかし、だからといって「クリックって何?ショートカットキーって何?」といった方に安易にオススメする気にはなれないのもまた事実です。


※弱点を理解できた方は次項へ
▼次項

7.やってみた結論  今回構築した VAIO U と CFGPS2 を利用したPCカーナビは、思った以上に実用的なことが確認できました。GPSのみならでは、PCならではの弱点はあるものの、それを補って余りある実用性を体験してしまうとさほど大きな問題とはならないでしょう。どのようにノートPCを車載するか、というところでは頭を悩ますかもしれませんが、そこも「独創性の発揮しどころ」ということで、いざやってみるとDIY感覚で結構楽しめてしまいます。

 ルート検索の結果や地図のデザイン、画面構成などの好みは人それぞれとしても、すくなくとも「次は133ページのE-1、あ、ちょっと東にいくから今度は89ページのC-5?・・・いやいやC-4だった」などと言いながら、紙の地図をアチコチめくる必要がなくなるだけでも、多くの人にとって相当有益なものだと言えそうです。

 今回構築したものを使用している限り、これまで耳にしたことがある「PCカーナビは測位に時間がかかりすぎる」「そのつど何だかんだで30分くらいかかる」「精度が悪くてすぐにとんでもないところへジャンプする」などという話も、もはや過去形で語られる話となったようです。また、費用の面でも、今回新たに発生したのは 3万円弱。カーナビ専用機の相場が諸費用込みで 10万円前半〜25万円程度 であることを考慮すれば、十分納得できると思います。

Table.7-1 かかった費用の内訳(単位:円)
CFGPS2 \18,690
GPS-ANT/CF2 \3,609
Navin'you 専用マップ3
日本詳細版DVD
\5,903
*)某量販店のポイントを保有していたので
使用。ポイント未使用の場合は \10,800
マウンタ部材 \1,554
合計 \29,756
※あくまで私の購入した各店舗での税込み価格です。

 冒頭でも述べた私の動機でもある、「カーナビが必要な場面はそれほど多くは無い、でも必要な状況は確実にあるなぁ」と考えている方や、ノートPCを、特にVAIO Uなどのミニノートを所有している方は、車載も比較的やり易いので、是非挑戦してみることをお勧めします。これは趣味やエンターテイメントという意味でも、実用性という意味でも、やってみる価値が大いにあることです。
#とは言うものの、専用機持っている方は別に必要ないわけですけどね(^^;

 最後に、今回のPCカーナビ構築について、参考にさせていただいたWebサイト管理者の方々、ソフト製作者の方々にこの場を借りて感謝の意を表しつつ、結びとさせていただきます。


■構築前に参考にさせていただいたWebサイト
パソコンカーナビの部屋
 @niftyのパソコンGPSフォーラム(FGPS)でパソコンカーナビの実験を進めてきた研究成果として、パソコンカーナビソフトGPS PlayerやNYLINKを公開しています。ユーザーレベルではおそらく最もPCカーナビについての情報が豊富なサイトです。
VAIOethicsVAIOethics[相互]
 VAIO Laboratory にVAIOでカーナビというコーナーがあり、VAIO C1VJ + GPS Player + Nylink + navin'you を用いたPCカーナビについて紹介されています。車載にはドリンクホルダーとペットボトル、トレーなどを使用しています。
V-CLUB
 私のC1S STORY というコーナーにカーナビの項があります。USB接続のGPS受信機をNavin'youで使用することについての情報があります。
CFGPS2 ユーティリティ
 I・Oデータ機器のCFGPS2用のユーティリティのダウンロードページです。同ユーティリティを使用することで、衛星受信状況の確認の他、ハードウェアリセットや測地系の変更も可能になります。fig.5-2を参照のこと。


■PCカーナビ関連のサイト
C5 Life!![相互]
 ジャイロに対応したGPSアンテナGPS-2001ZZでPCカーナビを構築したことのあるfumikさんのサイト。PCカーナビについてのコンテンツはこちらや、こちらに掲載なさっています。




X.おまけ情報  ここでは、本文に書かれていないけれどやっておくと良いことや、気をつけるべきことをツラツラとかいていきます。

X-1.「衛星が受信できなくなりました」の音声案内は無いほうが良い?
 特に外付けアンテナを使用しない人は頻繁に聞く事になりますので、切っておいたほうが良いでしょう。画面上でも容易に確認できますし(自位置を示すカーソルが赤の時には測位中、灰色や青だと見失った状態です)、頻繁に警告されるとかなりジャマに感じでしまうと思います。

X-2.外付けアンテナは必須と思うべき
 メーカーが自慢するだけあって、CFGPS2などは従来のGPS受信機に比べ、単体でもかなりの感度を誇ります。しかしそれは直接空が広く見渡せる場合です。車内ではそうはいきませんので、外付けアンテナは一緒に購入しておくことを強く推奨します。特にルーフにアンテナを設置したとき、GPSに関する世界観が変わるほど受信感度が改善します。

X-3.外付けアンテナをCFGPS2につける時に不安なこと
 CFGPS2 とその外付けアンテナである GPS-ANT/CF2 の接続の際には、意外に強い力で押し込む必要があります。GPSケーブル本体の細さを見たことがある人などは余計に「壊れないかな?」と不安になると思います(経験者談)。しかし「カチッ☆」と音がするまで自信を持って押し込んで大丈夫です。

X-4.音声ナビの音はカーステレオから鳴らす
 PCのスピーカーから出る音は、高速走行中などは聞き取りにくくなります。それを防ぐため、カーステレオからPCの音を出すことをお勧めします。カーステレオにAUX端子が付いている場合、話は簡単です。ついていなくても、カセットデッキなどに差すタイプのカーオーディオアダプタ(安いのを探せば1000円程度)を使用すれば、PCのLINE-OUT端子からの音声を容易にカーステレオから流せます。なお、FMで飛ばすタイプのものも使えますが、PCからのノイズが乗りやすいので正直あまりお勧めしません。
 音声ナビ以外の場面でも副次的な効果として、PCで音楽を再生して車載ジュークボックス化させたり、映画などを鑑賞するのにも都合が良いです。

X-5.FRPボディ、UVカットガラスにご用心?
 車がFRP(強化プラスティック)ボディの場合、外部アンテナを貼り付けることができません。その場合は仕方が無いのでダッシュボード上などに設置しましょう。また、UVカットガラスの一部は、GPSの電波を遮ります。この2つがセットになっている車をお持ちの方は、残念なのですが素直に専用カーナビを導入すべきです。

X-6.納得できる設置ができるまで日常へは投入しないほうが良い?
 ノートPCとGPSアンテナを接続し、地図ソフトで測位できて「とりあえず動く」という状態になると、とにかく嬉しくてすぐに日常的な場面で使いたくなります。しかしそれは避けたほうが良さそうです。自分ひとりでちょっとだけ試すのは良いことですし必要なことですが、ある程度の距離や他人を乗せて走行する前には、納得できる設置を行っておくべきです。
 ノートPCはただ置いただけでは縦の振動やカーブの遠心力で思わぬところへ移動します。だからといって助手席に置いて使うのは危ないですし、同乗者に持ってもらうというのも、初めは面白がってくれても1時間もすれば苦痛に変わるでしょう。それにケーブルびろびろ、ノートPCがたんごとん...といった状態の車は、多くの場合同乗者が引きます(^^;;;

X-7.海外でも使えます
 GPSは基本的にほぼ全世界で利用可能なシステムですので、地図データさえあれば、海外でも利用可能です。詳しくはこちらをご参照ください。

X-8.Nylink0.82の入手について
 「Nylink0.82の配布元であるサイト「パソコンカーナビの部屋」からNylinkに関するページが消えていて入手できない。そちら(つまりいまあなたがアクセスしているこのサイト)で配布してくれないか」という問い合わせを複数の方からいただきました。
(2004/07/07日確認)※Nylinkに関するページは復活しているようです

 Nylink0.82は、@niftyのパソコンGPSフォーラム(FGPS)というところで実施されていたGPS Playerプロジェクトの一環として、ひろくん氏によって開発されたものです。Nylinkは必要十分な機能を提供してくれますしかつ非常に安定して動作する優れたソフトウェアですが、作者のひろくん氏によって添付されているドキュメントによるとまだβ版なので転載は不許可なのだそうです。
 配布や転載の条件を決定するのは作者の方の権利ですし、私個人としてもソフトウェアを作成・提供してくださる方の意思は尊重したいと考えています。付属ドキュメントに「【転載 条件】 β版につき不可(原文まま)」と明記されている以上、やはり当サイトでNylink0.82の配布を行うことは適当だとは思われませんので、いま(2004/03/11現在)は配布することは考えていません。
 Nylink0.82の入手については、配布元のサイト「パソコンカーナビの部屋」の方へ問い合わせをお願いいたします。

 パソコンカーナビの部屋




2003. stock (stock@oomiyahost.homeip.net)

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